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かけ算の順序について

  • wan-wan8
  • 2022年1月3日
  • 読了時間: 3分

 このことについては,ときどき話題になりますので,聞いたことがある人も多いかと思います。あるテレビ番組では著名な数学者にまで話をもっていき,2×3はマルで3×2はバツという指導についてどう思うかと聞いて,「そんな馬鹿な話があるか」という答えを引き出していました。まるで,小学校で単なる数値計算2×3を3×2ではいけないという指導がなされているかのようで違和感を持ちました。

 これは加法の可換性の問題のように思われている人もいると思いますが,そのような指導には大切な意味があります。もっとも,そのことを理解せずに形式的に教えている小学校の先生がいる可能性も無きにしも非ずですが。


 かけ算でぜひ身につけたいのは「1つ分の数」です。ほかに「1あたり量」とか「単位量あたりの大きさ」などということもあります。

 例えば,5人の子に3個ずつリンゴを配るとき何個のリンゴが必要か,という問いがあったとき,「一人当たり3個」これが「1つ分の数」です。もちろん答えは「一人当たり3個」と「人数5人」をかけて15個となります。これが後に「時速4km(1時間当たり4km進む)」と「所要時間3時間」をかけることで「道のり12km」となったり,中学に進むと1次関数で「変化の割合3」と「x の増加量4」をかけることで「y の増加量」を求めることにつながります。さらには,高校で習う「微分」などに発展していくことになります。そのときに「1つ分の数」の理解ができていない状態であったら,微分の理解はかなり困難になってしまいます。

 このように先々のことを見通した上でカリキュラムは作られています。確かに「5人の子に3個ずつリンゴを配る」問題では,ここに表れた 5 と 3 をかけると答えは出るのですが,それが大事なのではなく,本質はこの問題文を読んだときに,「一人当たり3個」ということを強く意識し,理解することです。それを単なるかけ算の順序という些末(さまつ)な問題にしてしまっては,子供たちに大事なものが身につく機会を奪うことになります。

 「ハジキ」とか「ミハジ」というものをご存知でしょうか。速さ・時間・距離についての3つの公式(?)を覚える方法です。機械的に当てはめるだけで答えが出るので,これを教えている先生方も結構いるようです。「結構いる」と言い切ったのは,当塾に来ている生徒さんの多くがこれを使おうとするので,かなりの割合で蔓延していると思われます。かなり数学ができる中学生の生徒さんでも使います。

 ある有名な教育者がこれを使うと明言されていて驚いたことがあります。ただし,その方はとりあえずみんなが「できる」ようにして,後日その意味を理解してもらうともおっしゃっています。これは一つの教え方ですので十分に理解できます。しかし,多くの生徒にとって「後日」は永遠にやってこないという現実があります。

 小学校の高学年で速さ・時間・距離が出てきたときは,仮に低学年で「1つ分の数」が十分に身につかなかった子にとって,それをやり直すチャンスなのです。それを「ハジキ」とか「ミハジ」などというものを使うことでその機会を奪ってしまう。

 何とも暗澹たる思いを持ってしまいます。


 かけ算の順序の話に戻ります。


 リンゴを5人の子に3個ずつ配るときに必要なリンゴの個数を求めるというとき,「1つ分の数」とは子供1人あたりの個数と考えて「3」というのが自然です。その自然な「1つ分の数」をまず文章から読み取らせたい。そのために「“1つ分の数”をはじめに書きなさい」という教え方はたいへんよい方法ではないかと思います。問題ごとに1つ分の数を別に書かせるという方法もあるかもしれませんが少し煩わしいです。

 ですから,本当は「“1つ分の数”をうしろに書きなさい」でもいいのです。大事なのは順序ではありません。


  他教科のことはわかりませんが,こと数学については小学校の算数がもっとも難しいということは確かです。高校で習う微分を見据えて低学年の生徒に「1つ分の数」を教えるのですから。


 
 
 

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